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見積実務

リフォームの工事写真の撮り方 — 追加請求とクレームを防ぐ記録術

リフォラク ブログ|reforaku.com
公開日: 2026-07-29筆者: 谷澤 悠太株式会社りぶずけあ 代表取締役
目次
  1. 工事写真は何のために撮る?
  2. 工事写真はいつ撮る?着工前・施工中・完了の3段階
  3. 追加請求とクレームを防ぐ「着工前」の撮り方
  4. 隠れる部分は「ふさぐ前」に必ず撮る
  5. 5W1Hを1枚で伝える — 黒板と電子小黒板
  6. 撮った写真の残し方・整理のコツ
  7. 補助金申請でも写真を求められる
  8. まとめ

「ついでにここも直しといて」と頼まれた追加工事。あとで請求したら「そんな金額、聞いてない」——リフォームの現場で起こりうるこのすれ違いは、実は写真1枚で防げることがあります。この記事は、1〜10人規模のリフォーム店・工務店の社長や職人さんに向けて、追加請求とクレームを防ぐ工事写真の撮り方・残し方を、事務と現場の両方を回す目線でまとめたものです。

筆者プロフィール: 谷澤 悠太 — 株式会社りぶずけあ 代表取締役。名古屋市でリフォーム業を営んで5期目(2021年創業)。

工事写真は何のために撮る?

直答: 施工の証明・追加請求やクレームの防止・補助金申請の3つのためです。とくに「言った言わない」を避け、追加分を正当に請求するための裏付けになります。

工事写真というと「大きな公共工事のためのもの」というイメージがあるかもしれません。ですが、小さなリフォームの現場ほど、写真は自分を守る道具になります。理由は大きく3つです。

  1. 施工の証明: どんな工事を、どんな手順で行ったかを記録に残せます。手抜きを疑われたときにも、工程の写真があれば説明できます。
  2. 追加請求とクレームの防止: 着工前の状態を残しておけば、「もともとあった傷み」と「工事で生じたもの」を切り分けられます。追加工事の根拠にもなります。
  3. 補助金申請: 断熱リフォームなどの補助金では、工事箇所のBefore/After写真の提出が申請要件になっていることがあります。撮り忘れると申請できない事態になりかねません。

このうち、日々の資金繰りにいちばん効くのが2つ目です。次で詳しく見ていきます。

工事写真はいつ撮る?着工前・施工中・完了の3段階

直答: 着工前・施工中・完了後の3段階が基本です。とくに着工前は、既存の傷みを記録して追加工事の根拠になるため外せません。

工事写真は、次の3つのタイミングで撮るのが基本です。

  • 着工前: 工事に入る前の状態。既存の傷み・汚れ・劣化を含めて残します。
  • 施工中: 解体後の状態、下地や配管、防水処理など、完成後は見えなくなる部分を中心に。
  • 完了後: 仕上がりの状態。着工前と同じアングルで撮ると、Before/Afterとして比較できます。

同じ場所を同じアングルで撮る「定点撮影」を意識すると、着工前と完了後が1組の資料になります。お客様への完了報告や、次の提案の実績写真としても使えます。

追加請求とクレームを防ぐ「着工前」の撮り方

3段階のなかで、お金に直結するのが着工前の写真です。

たとえば、床を張り替えるつもりで解体したら、下地が腐っていて補修が必要になった——こうしたケースがあります。仮に下地補修に3万円かかるとして、着工前の写真が1枚あれば「もともと下地が傷んでいました」と根拠を示せます。逆に写真がないと、「工事でうちが壊したのでは」と受け取られ、3万円を自腹で飲み込むことにもなりかねません。0円になるか3万円を正当に請求できるかは、シャッター1回の差です。

着工前写真のコツは、引き(全景)と寄り(気になる箇所)の2枚をセットで撮ることです。全景で「どの部屋の・どのあたりか」を示し、寄りで「既存の傷みの具体」を残します。日付が写る設定にしておくと、いつの時点の状態かが一目で分かります。

見積書側の書き方とあわせておくと、さらに強くなります。追加工事や見積範囲外の扱いをどう書くかは、リフォームの見積書の書き方にまとめています。写真(現場の記録)と見積書(書面の取り決め)は、追加トラブルを防ぐ両輪です。

隠れる部分は「ふさぐ前」に必ず撮る

工事写真でいちばん撮り直しがきかないのが、あとで見えなくなる部分です。

  • 壁の中を通る配管・配線
  • 床や壁をはがしたあとの下地
  • 防水処理をした箇所
  • 断熱材を入れた状態

これらは、ボードを張ったりクロスを貼ったりすれば、二度と見えません。「完成してから撮ればいい」は通用しない部分です。ふさぐ前のひと手間として、必ず1枚残す習慣にしておくと安心です。補助金申請でも、断熱材の施工状況など「隠れる部分」の写真を求められることがあります。

5W1Hを1枚で伝える — 黒板と電子小黒板

写真だけを見返すと、「これはどの現場の、いつの、何の写真だっけ?」と分からなくなることがあります。これを防ぐのが、昔からある工事用の黒板です。「工事名・場所・施工内容・日付」などを書いて一緒に写し込むと、写真1枚で状況(5W1H)が伝わります。

スマホで撮影するときに黒板の情報を画面上に重ねられる電子小黒板という仕組みもあります。公共工事でも利用が認められている方式で、黒板を持ち歩かなくても、一人で撮影から記録まで完結できます。小さな現場では、まずは手書きの黒板やホワイトボード、メモアプリでも十分です。大切なのは「写真と情報がセットで残る」ことです。

撮った写真の残し方・整理のコツ

撮るだけ撮って、あとで探せないと意味がありません。整理の基本は次の3つです。

  1. 現場ごとにフォルダを分ける: お客様名や住所(管理番号)で1現場1フォルダにします。
  2. 段階が分かるようにする: フォルダの中を「着工前/施工中/完了」で分けると、Before/Afterがすぐ取り出せます。
  3. 撮ったその日に振り分ける: 現場から帰った日にまとめておくと、月末にまとめてやるより楽です。

写真が現場ごとに整理されていれば、追加請求の根拠を示すときも、補助金申請の書類を作るときも、必要な1枚をすぐ出せます。事務が夜に食い込む小さな店ほど、この「その日のひと手間」が効いてきます。

補助金申請でも写真を求められる

断熱リフォームや窓の補助金など、住宅の補助金では、工事箇所のBefore/After写真や施工状況写真の提出を申請要件として求められることがあります。撮り忘れると、工事自体はできても補助金がもらえない、という取り返しのつかない事態になりかねません。

補助金を使う案件では、着工前・施工中・完了のどの写真が必要か、事前に要件を確認してから工事に入るのが鉄則です。とくに「隠れる部分」は、ふさぐ前に撮っておかないと後から用意できません。制度によって求められる写真は違うので、申請の手引きに一度目を通しておくと安心です。

まとめ

  • 工事写真は施工の証明・追加請求やクレームの防止・補助金申請のために撮る。小さな現場ほど自分を守る道具になる。
  • 撮るのは着工前・施工中・完了の3段階。とくに着工前の記録が、追加工事の根拠として効く。
  • 隠れる部分(配管・下地・防水・断熱)は、ふさぐ前に必ず1枚。ここだけは撮り直しがきかない。
  • 黒板や電子小黒板で5W1Hを写し込むと、写真1枚で状況が伝わる。
  • 保存は現場ごと・段階ごと・その日のうちに。追加請求や補助金申請ですぐ取り出せる形に。

シャッター1回のひと手間が、あとで「言った言わない」から自分を守ってくれます。今日の現場から、着工前の1枚を習慣にしてみてください。

※本記事の「着工前・施工中・完了の3段階で撮る」「隠れる部分はふさぐ前に撮る」といった整理は、現場実務の一般的な考え方をまとめたものです。本文中の金額(下地補修3万円など)は説明のための例示です。補助金の申請要件は制度ごとに異なるため、必ず各制度の公式な手引き(一次情報)をご確認ください。

この記事を書いた人 谷澤 悠太株式会社りぶずけあ 代表取締役

名古屋市でリフォーム会社を共同経営(2021年創業・5期目)。現場の見積・請求の実務に合わせて、リフォーム店向け業務サービス「リフォラク」を開発・運営しています。

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