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工事代金の入金が遅れたら — 角を立てない催促の段取りと文例3つ

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公開日: 2026-09-11筆者: 谷澤 悠太株式会社りぶずけあ 代表取締役
目次
  1. 入金が遅れるのは、珍しいことですか?
  2. 角を立てずに催促するには、どう動けばいいですか?
  3. そもそも入金遅れを防ぐには、どんな仕込みができますか?
  4. どうしても払ってもらえないときは、どうすればいいですか?
  5. まとめ

工事は終わった。請求書も渡した。なのに、期日を過ぎても入金がない——。金額が金額だけに気になって仕方ないのに、「催促してお客様との関係が悪くなったら」と思うと電話も打ちづらい。この記事は、1〜10人規模の張替店・リフォーム店向けに、角を立てずに催促する段取りと、そのまま使える文例3つ、そしてそもそも遅れにくくする仕込みをまとめたものです。

筆者プロフィール: 谷澤 悠太 — 株式会社りぶずけあ 代表取締役。名古屋市でリフォーム業を営んで5期目(2021年創業)。

入金が遅れるのは、珍しいことですか?

直答: 珍しくありません。そして遅れの大半は、悪意ではなく「忘れ」や「手続きの行き違い」です。一番損なのは、気まずさから催促せずに放置することです。

個人のお客様の場合、振込は日常の作業ではありません。請求書を冷蔵庫に貼ったまま忘れていた、家族に頼んだつもりが伝わっていなかった、銀行に行くタイミングを逃した——このあたりが実際の理由のほとんどです。踏み倒すつもりで遅らせている人は、体感としてはごくわずかです。

だからこそ、催促は「お金を取り立てる嫌な連絡」ではなく、「お忘れではないですか?の親切な確認」と考えてください。そう捉え直すと、文面も自然と柔らかくなりますし、早く動けるようになります。

逆に、気まずいからと1ヶ月、2ヶ月と放置すると——

  • お客様の側も「今さら振り込みづらい」状態になり、時間がたつほどお互いに切り出しにくくなる
  • 記憶が薄れて「請求書、もらいましたっけ?」から話が始まる
  • 材料の仕入れ代金の支払いは待ってくれないので、立て替えている自分の店の資金がじわじわ苦しくなる

早く・軽く・丁寧に。これが催促の基本です。

角を立てずに催促するには、どう動けばいいですか?

直答: 期日から3日ほど過ぎたらメールやSMSで一報→そこから1週間たっても入金がなければ電話→電話のあとに改めて書面、の3段で動きます。どの段でも「行き違いでしたらご容赦ください」の姿勢を崩さないのがコツです。

「3日」に理由があります。期日当日や翌日に連絡すると、振込処理の反映待ちだった場合にお客様に恥をかかせてしまいます。かといって1週間以上あけると、こちらの「気づいていますよ」が伝わるのが遅れる。土日をはさんでも吸収できる3日後あたりが、失礼にならず、かつ放置にもならない頃合いです。

文例①: 最初の一報(メール・SMS・LINEなど)

期日+3日の一報は、電話より文字がおすすめです。相手が自分のタイミングで確認でき、「催促された」という圧が最も小さい連絡手段だからです。

〇〇様 いつもお世話になっております。△△(店名)の□□です。先日は畳の張替工事をご用命いただき、ありがとうございました。さて、〇月〇日をお支払い期日としてご請求しておりました工事代金(〇〇円)につきまして、本日時点で入金の確認が取れておりませんでしたので、ご連絡いたしました。行き違いでお手続きいただいておりましたら、何卒ご容赦ください。ご不明な点などございましたら、お気軽にご連絡ください。今後ともよろしくお願いいたします。

ポイントは3つ。事実だけを書く(「まだ払われていません」ではなく「確認が取れておりませんでした」)、行き違いの逃げ道を必ず用意する責める言葉を一切入れない。この型なら、すでに振り込んでいたお客様が読んでも嫌な気持ちになりません。

文例②: 電話での切り出し方(一報から1週間後)

文字の一報から1週間たっても動きがなければ、電話に切り替えます。ここでも「支払ってください」から入らないのがコツで、請求書側の不備を確認するていで切り出します。

お世話になっております、△△の□□です。先日の畳の工事の件でお電話しました。お送りした請求書なのですが、金額や振込先など、分かりにくいところはなかったでしょうか。——実はまだ入金の確認が取れておりませんで、もし請求書が届いていない・見当たらないようでしたら、すぐお持ちしますので。

こちらの不備を先に疑ってみせることで、お客様は「忘れてました、すみません」と言いやすくなります。実際、この電話のほとんどはここで「今週中に振り込みます」で終わります。もし「今ちょっと厳しくて」という事情が出てきたら、責めずに「では〇月〇日まででいかがですか」と新しい期日をその場で決めて、あとで文例③の書面に残します。

文例③: 電話のあとに送る書面(再請求)

電話で決めた内容は、口約束のままにせず書面(またはメール)で残します。

〇月〇日にお電話にてご案内いたしました工事代金(〇〇円)につきまして、改めてご請求申し上げます。誠に恐れ入りますが、〇月〇日までに下記口座へお振込みくださいますよう、お願いいたします。なお、行き違いでご入金いただいておりました場合は、本状は何卒ご容赦ください。お支払いについてご相談がございます場合は、お手数ですがご一報ください。

再請求の書面には、新しい期日・金額・振込先を必ず明記します。「なるべく早めに」のようなあいまいな表現は、次の期日切れを生むだけなので使いません。

そもそも入金遅れを防ぐには、どんな仕込みができますか?

直答: 請求書に支払期日と振込先をはっきり書く・工事完了の当日に請求書を渡す・大きな工事は前金で信頼を測る。この3つで、遅れの大半は起きる前に消せます。

  • 請求書に期日と振込先を明記する: 「お支払い期日: 〇月〇日」と日付で書きます。「工事完了後お支払いください」では、お客様の中で優先順位が上がりません。振込先の口座情報も、お客様が請求書1枚だけで振込を完了できるように書いておきます
  • 工事完了の当日に請求書を渡す: 仕上がりを見て「きれいになったね」と言ってもらえた瞬間が、お客様の払う気持ちが一番高いときです。後日郵送にすると、その熱が冷めたころに請求書が届くことになります。完了の立ち会いのその場で手渡し、その場で期日を口頭でも伝える——これだけで入金の速さは目に見えて変わります
  • 大きな工事は前金をもらう: 着工前の前金は、資金繰りのためだけではなく、お客様の支払いの確実さを最初に測る機会でもあります。前金の入金がスムーズなお客様は、完了金もまずスムーズです。前金の決め方や契約書への書き方は工事代金はいつ・いくらもらう?の記事にまとめてあります

あわせて、支払い時期・方法を契約書に書いておくことも仕込みのひとつです。催促の場面で「契約書のとおり」と言える土台があるのとないのとでは、こちらの心の楽さがまったく違います。

どうしても払ってもらえないときは、どうすればいいですか?

直答: 文例③の書面まで進めても動きがない場合の手段として、内容証明郵便少額訴訟といった仕組みが一般に知られています。ただし、その先は自己判断で動かず、専門家に相談してからにしてください。

言葉だけ知っておくと、いざというとき慌てずに済みます。

  • 内容証明郵便: 「いつ・誰が・誰に・どんな内容の手紙を送ったか」を郵便局が証明してくれる郵便です。請求した事実を形に残す手段として使われます
  • 少額訴訟: 60万円以下の金銭の支払いを求める場合に使える、原則1回の期日で終わる簡易な裁判手続きです

ただし、どちらも「出せば払われる」ものではありませんし、出し方やタイミングを誤ると、かえって話がこじれることもあります。金額・経緯・相手との関係はケースごとに違うので、このあたりからは専門家の領域です。各地の商工会議所の経営相談窓口(会員でなくても相談できる窓口が多くあります)や、自治体の無料法律相談、弁護士に、動く前に相談してください。相談すること自体は数千円か無料で済みます。

そして、ここまで進むケースは実際にはまれです。ほとんどの入金遅れは、文例①の軽い一報で解決します。だからこそ、重い手段の心配をする前に、期日+3日の一報を習慣にする——これがこの記事で一番お伝えしたいことです。

まとめ

  • 入金遅れの大半は悪意ではなく「忘れ」。気まずさから放置するのが一番損
  • 段取りは期日+3日で文字の一報→1週間で電話→電話のあとに書面の3段
  • 文面は事実だけ+「行き違いでしたらご容赦ください」。責める言葉は入れない
  • 電話は「請求書に不備はなかったですか」の確認のていで。事情が出たら新しい期日をその場で決める
  • 予防は請求書に期日と振込先を明記・完了当日に手渡し・大きな工事は前金の3点
  • 内容証明・少額訴訟という手段はあるが、動く前に商工会議所や弁護士など専門家に相談する

催促は、しつこくやるものではなく、早く・軽くやるものです。いま気になっている入金が1件あるなら、この記事の文例①を、今日そのまま送ってみてください。

※本記事は一般的な実務の進め方をまとめたものであり、個別の債権回収に関する法的助言ではありません。具体的な対応は、商工会議所・弁護士など専門家にご相談ください。

この記事を書いた人 谷澤 悠太株式会社りぶずけあ 代表取締役

名古屋市でリフォーム会社を共同経営(2021年創業・5期目)。現場の見積・請求の実務に合わせて、リフォーム店向け業務サービス「リフォラク」を開発・運営しています。

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