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最低賃金は12月2日までに全国で上がる — リフォーム店が確かめる日給・月給の時給換算と、見積の手間代の見直し

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公開日: 2026-10-15筆者: 谷澤 悠太株式会社りぶずけあ 代表取締役
目次
  1. 2026年度の最低賃金は、いつから・いくらになりますか?
  2. 日給や月給で払っている人が、最低賃金を下回っていないかはどう確かめますか?
  3. 見積の手間代は、どう見直せばいいですか?
  4. 業務改善助成金は、今からでも申請できますか?
  5. まとめ
  6. 参考

10月に入って、「最低賃金が上がった」というニュースを見た方も多いと思います。今年は都道府県ごとに発効日がばらばらで、10月1日から12月2日にかけて順番に上がります。時給のパートさんなら気づきやすいのですが、見落としやすいのは日給や月給で雇っている手元さん・見習いさんです。この記事では、厚生労働省の資料をもとに、自分の県はいつ・いくらか、日給・月給の確かめ方、見積の手間代の見直し方、そして発効日の前日が期限の助成金を整理します。

2026年度の最低賃金は、いつから・いくらになりますか?

直答: 厚生労働省によると、2026年度の地域別最低賃金は全国加重平均1,177円で、前年度から56円上がりました。発効日は都道府県ごとに違い、10月1日から12月2日までの間に順次発効します。

すでに10月1日に上がった地域には、東京都(1,280円)・神奈川県(1,279円)・大阪府(1,231円)・埼玉県(1,196円)・愛知県と千葉県(1,195円)などがあります。一方、まだこれから上がる県も少なくありません。10月16日以降に発効する県は次のとおりです。

都道府県改定後の金額(引上げ額)発効日
福島県1,094円(61円)10月16日
茨城県1,136円(62円)10月18日
宮崎県1,085円(62円)10月24日
鹿児島県1,090円(64円)10月25日
青森県・高知県1,090円(61円)・1,086円(63円)10月29日
山形県1,092円(60円)10月30日
山梨県・徳島県・愛媛県・大分県1,113円・1,103円・1,093円・1,096円11月1日
長崎県1,087円(56円)11月2日
佐賀県1,095円(65円)11月15日
京都府1,180円(58円)11月16日
岩手県・熊本県1,090円(59円)・1,092円(58円)12月1日
沖縄県1,086円(63円)12月2日

※厚生労働省「令和8年度地域別最低賃金全国一覧」より。そのほかの県の金額と発効日も、同じ一覧で確かめられます。

地域別最低賃金は、パート・アルバイト・臨時といった呼び方に関係なく、その都道府県内の事業場で働くすべての労働者に適用されます。見習い期間中の人も同じです(試用期間中などの減額は、労働局長の許可を受けた場合に限られます)。

日給や月給で払っている人が、最低賃金を下回っていないかはどう確かめますか?

直答: 日給は「日給÷1日の所定労働時間」、月給は「月給÷1か月平均の所定労働時間」で時給に換算して、最低賃金と比べます。残業代・休日出勤の割増・賞与・通勤手当・家族手当・精皆勤手当は計算から除きます。

厚生労働省が示している換算のしかたに、リフォーム店でよくある払い方を当てはめると次のようになります。例は愛知県(1,195円)で判定し、1日8時間・年間の所定労働日数250日として単純に計算しています。

払い方時給への換算例(愛知県 1,195円で判定)
時給制(パート)時給をそのまま比べる時給1,150円 → 下回る
日給制(手元)日給 ÷ 1日の所定労働時間日給9,000円 ÷ 8時間 = 1,125円 → 下回る(9,560円以上が必要)
月給制(見習い)月給 × 12 ÷(年間の所定労働日数 × 1日の所定労働時間)基本給17万円+職務手当1万円 = 18万円 → 1,080円 → 下回る(月19万9,167円以上が必要)

同じ条件で計算すると、月給18万円(時給換算1,080円)は、今年の改定ですべての都道府県の最低賃金を下回ります(いちばん低い宮崎県でも1,085円)。昨年は多くの県で上回っていた金額です。日給9,000円(1,125円)も、北海道・茨城・静岡・三重・滋賀・京都・兵庫・広島では今年の改定から下回ります(京都府は11月16日から)。とくに月給は、通勤手当を足した額や、残業代を含めた手取りの感覚で見てしまうと気づきにくいので、基本給と毎月決まって払う手当だけで計算し直してください。

最低賃金より低い賃金は、本人と合意していてもその部分が無効になり、差額を払う必要があります。地域別最低賃金を下回った場合の罰則は50万円以下の罰金です。また、店は最低賃金の額や発効日などを、作業場の見やすい場所への掲示などで周知することになっています。事務所に今年の金額を貼り替えておくのも、忘れずにやっておきたい作業です。

見積の手間代は、どう見直せばいいですか?

直答: 手間代の単価を、人を雇ったときの1日あたりの人件費から計算し直します。上がった分は、発効日のあとに出す見積から単価表に反映し、工務店やリフォーム会社から受ける仕事では、根拠を添えて単価の相談をします。

たとえば手元さんの日給を9,000円から9,600円に上げると、1日あたり600円の増加です。2人工かかる張替えの現場なら1件で1,200円、年間250日働いてもらうと単純計算で15万円になります。1件ごとには小さく見えても、手間代の単価を据え置いたままだと、そのまま粗利から出ていく金額です。

見直すときは、次の順番で進めると漏れが出にくくなります。

  1. 雇っている人ごとに、新しい日給・時給を決める: 上の換算で最低賃金を下回る人がいないかを先に確かめます
  2. 手間代の単価を計算し直す: 日給だけでなく、社会保険料の会社負担分など、1日あたりにかかる費用も含めて見ます。見積に手間を「一式」で入れている場合も、中身の人工数と単価を控えておくと、次の見直しが速くなります
  3. 見積の明細と単価表を差し替える: 発効日より前に出した見積は、有効期限が残っていればその金額のままにするのか、期限が切れたら新しい単価で出し直すのかを決めておきます。年末年始をまたぐ見積の期限の考え方は年内に終わる工事、いつまで受ける?にまとめています
  4. 受ける仕事の単価を相談する: 改正建設業法では、注文者が材料費・労務費を著しく低くするような見積の変更を求めることにも歯止めがかかっています。くわしくは改正建設業法で見積書はどう変わった?で整理しています。「最低賃金の改定で手元の日給を上げた」という事実と金額は、相談の根拠として伝えやすい材料です

業務改善助成金は、今からでも申請できますか?

直答: 2026年度の申請期間は、9月1日から、店のある都道府県の最低賃金の発効日の前日か11月30日の、いずれか早い日までです。10月1日に発効した地域はすでに締め切られていますが、10月16日以降に発効する県では、まだ申請できます(10月16日発効の福島県は10月15日が期限)。

業務改善助成金は、店の中でいちばん低い時給(事業場内最低賃金)を50円以上引き上げ、あわせて生産性を上げる設備投資などを行った場合に、その費用の一部を助成する制度です。コースは50円・70円・90円の3つです。厚生労働省の案内で、申請前に押さえておきたい点は次のとおりです。

  • 従業員がいない店は対象外: 雇っている人の賃金を引き上げるための制度です
  • これから行うものが対象: 賃金の引上げも設備投資も、申請して交付決定を受けたあとに計画どおり進めます。賃金を引き上げる期間は、発効日の前日までです
  • 対象になる人の条件: 雇用保険に入っていて、雇入れから6か月を過ぎた人の賃金を引き上げる必要があります
  • 期限が短い: 機器の納品・支払い・賃金の引上げは、原則として交付決定の年度の1月31日までに済ませます
  • 勧誘に注意: 厚生労働省は、国の委託を受けたと装って助成金の活用を勧誘する業者がいるとして、注意を呼びかけています。国や労働局が特定の業者に勧誘を任せることはありません

たとえば京都府の店なら、発効日が11月16日なので申請の期限は11月15日、岩手県・熊本県・沖縄県は11月30日です。予算の範囲内での交付なので、申請期間内でも募集が終わる場合があります。使う可能性があるなら、管轄の労働局に早めに問い合わせてください。

まとめ

  • 2026年度の最低賃金は全国加重平均1,177円(56円の引上げ)。発効日は10月1日から12月2日まで都道府県ごとに違う
  • 日給・月給の人は、時給に換算して比べる。通勤手当・家族手当・精皆勤手当・残業代・賞与は除く
  • 年間250日・1日8時間で単純計算すると、月給18万円は今年からすべての都道府県で下回る
  • 手間代の単価は、1日あたりの人件費から計算し直し、発効日のあとの見積から差し替える
  • 業務改善助成金は、発効日の前日か11月30日の早いほうが期限。従業員がいない店は対象外

まずは、雇っている人の名前を並べ、日給・月給を時給に換算した数字を、自分の県の新しい金額と見比べるところから始めてみてください。

リフォラクでは、見積の明細に手間と材料を分けて数量・単価を入れられ(明細の追加と数量・単価の入れ方)、案件ごとに手間・材料・外注の原価を記録して粗利を見返せます(かかった原価を記録するには?)。単価を見直したあと、実際の粗利がどう変わったかを案件ごとに確かめるのに使えます。

※本記事は2026年10月15日時点で厚生労働省が公表している情報をもとに、実務の考え方を整理したものです。発効日は手続の状況により変わることがあります。最低賃金の計算や助成金の要件は、雇い方や手当の内容によって変わるため、個別の判断は管轄の都道府県労働局・労働基準監督署、または社会保険労務士に確認してください。

参考

この記事を書いた人 谷澤 悠太株式会社りぶずけあ 代表取締役

名古屋市でリフォーム会社を共同経営(2021年創業)。現場の見積・請求の実務に合わせて、リフォーム店向け業務サービス「リフォラク」を開発・運営しています。

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