材料費のレシート、税込と税抜どっちで記録する? — 粗利を正しく掴むための消費税の基本
リフォラク ブログ|reforaku.com目次
「材料のレシートは税込で付けているけど、見積は税抜で作っている」——小さな店では珍しくありません。帳簿の付け方としてはどちらでも構わないのですが、案件ごとの粗利を見るときに税込と税抜が混ざると、数字が数ポイント単位でずれます。この記事では、粗利を正しく掴むために押さえておきたい消費税の基本を、計算例つきで整理します。
材料費のレシートは税込と税抜、どちらで記録すればいいですか?
直答: 課税事業者なら帳簿は税込経理・税抜経理のどちらを選んでもよく、納める消費税の額は同じです。大事なのは、案件の粗利を見るときに売上と原価の基準をそろえること。レシートは税込の支払額と税率を残しておけば、あとからどちらにも直せます。
国税庁のタックスアンサーでは、消費税の課税事業者は所得の計算にあたって税抜経理方式・税込経理方式のどちらを選んでもよく、どちらでも納付する消費税の額は同じだとされています。つまり「どちらが正しいか」ではなく、自社の帳簿がどちらで付いているかを知っておくことが出発点です。会計ソフトの設定や顧問税理士の方針を一度確認しておきましょう。
そのうえで、案件の粗利を見るときは次のように考えると整理しやすくなります。
- 課税事業者(消費税を納めている店): 売上で預かった消費税から、仕入れで払った消費税を差し引いて納めるのが消費税の基本の仕組みです(簡易課税などの特例は後述)。消費税はお客様から預かって納めるお金なので、粗利は税抜どうしで見るのが実態に近くなります
- 免税事業者(消費税を納めていない店): 払った消費税を差し引く仕組みを使わないので、払った消費税もそのままコストです。国税庁も、免税事業者は税込経理方式で所得を計算するとしています。粗利は税込どうしで見るのが実態に合います
自社がどちらに当たるか分からない場合は、税理士さんに確認してください。
税込と税抜が混ざると、粗利はどれくらいずれますか?
直答: 税抜30万円(税込33万円)の工事で原価が税込16.5万円の場合、正しい粗利率は50%ですが、売上を税抜・原価を税込で引くと45%、逆に売上を税込・原価を税抜で引くと約54.5%に見えます。後者は実力より儲かって見えるので特に危険です。
数字で並べてみます(すべて消費税10%の例。売上は税抜300,000円=税込330,000円、原価は税抜150,000円=税込165,000円)。
- 税抜どうし(課税事業者の実態): 300,000円 − 150,000円 = 粗利 150,000円・粗利率 50.0%
- 税込どうし: 330,000円 − 165,000円 = 粗利 165,000円・粗利率 50.0%
- 売上は税抜・原価は税込: 300,000円 − 165,000円 = 粗利 135,000円・粗利率 45.0%
- 売上は税込・原価は税抜: 330,000円 − 150,000円 = 粗利 180,000円・粗利率 約54.5%
ポイントは3つです。
- 税込どうし・税抜どうしなら、粗利率は同じになります。ずれるのは「混ざったとき」だけです
- ただし粗利の金額は、税込どうしだと消費税の分だけ大きく出ます。課税事業者にとって、その差額は納める側のお金です
- 見積は税抜、原価はレシートの税込——というよくある混ざり方は「儲かっていないように見える」側にずれます。逆に、請求書の税込額からレシートを税抜で引くと「儲かって見える」側にずれ、値決めの判断を誤りやすくなります
1件なら数ポイントの差でも、月の案件を合計すると判断を変えるくらいの差になります。まずは自社の原価表や案件の収支表で、売上の列と原価の列がそれぞれ税込・税抜のどちらなのか、見出しに書いておくだけでも効果があります。
レシート1枚から税抜の金額はどう出しますか?
直答: 税率10%の品は税込額÷1.1、8%の品は税込額÷1.08です。レシートに税率ごとの消費税額が書いてあれば、税込額からその消費税額を引くのが確実です。
消費税の税率は、標準税率10%と軽減税率8%の2種類です。軽減税率の対象は飲食料品(酒類を除く)などなので、ホームセンターで買う材料や工具は基本的に10%。一方、職人さんへの差し入れの飲み物や弁当は8%になります。
- 例: 材料 5,500円(10%)→ 5,500 ÷ 1.1 = 5,000円(消費税500円)
- 例: 差し入れの飲み物 216円(8%)→ 216 ÷ 1.08 = 200円(消費税16円)
インボイス発行事業者の登録を受けた小売店などが出すレシートには、税率ごとに区分した合計額と、適用税率か消費税額のどちらかが記載されます。レシートの下のほうにある「10%対象」「8%対象」の欄がそれです。1枚に10%と8%が混ざっているときは、この欄ごとに分けて計算します。手計算で÷1.1をすると1円未満の端数でレシートの表示と合わないことがあるので、消費税額が書いてあればそちらを使いましょう。
記録するときは、少なくとも次の5つを残しておくと、あとで税込・税抜のどちらにも直せます。
- 日付
- 購入先
- どの案件の分か(案件名・お客様名)
- 税込の支払額
- 税率(10%か8%か)
レシートそのものの保存も忘れずに。スマホで撮る・PDFで受け取る場合の保存方法は、リフォーム店の電子帳簿保存法対応にまとめています。
インボイス未登録の外注先に払った分はどう考えればいいですか?
直答: 未登録の相手への支払いは、含まれる消費税相当額の全部は差し引けません。差し引けない分は実質的に原価に上乗せされます。差し引ける割合は2026年9月30日までが8割、10月1日からは7割です。
インボイス制度では、仕入れで払った消費税を差し引く(仕入税額控除)には、原則として登録を受けた事業者が発行したインボイスの保存が必要です。未登録の職人さんや外注先への支払いは、経過措置として一定割合だけ差し引けることになっていて、その割合が2026年10月1日から下がります(国税庁「インボイス制度に関する令和8年度税制改正について」)。
課税事業者が税抜で粗利を見る場合、差し引けない分は原価側に残ります。国税庁のタックスアンサーでも、経過措置を使う仕入れでは、差し引けない部分を取引の対価に含めて計算する考え方が示されています。
例として、未登録の外注先へ 110,000円を支払った場合(消費税相当額 10,000円)で比べます。
- 8割控除のとき: 差し引けるのは 8,000円 → 税抜で見た原価は 102,000円
- 7割控除のとき: 差し引けるのは 7,000円 → 税抜で見た原価は 103,000円
レシートや請求書の税込額を単純に÷1.1すると 100,000円になり、実際より原価を小さく見積もることになります。未登録の外注先が多い店ほど、原価表の外注先に「登録あり/なし」の印を付けておくと粗利のずれに気づきやすくなります。経過措置の縮小スケジュールと年間でどのくらい負担が増えるかの計算は、インボイスの8割控除は2026年9月で終了をご覧ください。
なお、簡易課税制度や2割特例を使っている場合は、仕入れで払った消費税を実額で差し引く計算をしないため、考え方が変わります。仕訳の方法(仕入れのたびに処理するか、決算でまとめて調整するか等)も複数のやり方が認められているので、実際の処理は税理士さんの方針に合わせてください。
今日からできることは?
直答: 自社が課税か免税かを確認し、粗利を見る基準(税抜か税込か)を1つに決めて、見積・原価表・収支表の見出しにその基準を書いておくことです。
- 自社の区分を確認する: 課税事業者か免税事業者か、簡易課税などの特例を使っているか。分からなければ税理士さんへ
- 粗利の基準を1つに決める: 課税事業者なら税抜、免税事業者なら税込が実態に近い
- 表の見出しに基準を書く: 「契約金額(税抜)」「原価(税込)」のように、列ごとに明記する
- レシートは税込額+税率で残す: 変換はあとからいつでもできる
- 外注先の登録の有無を控えておく: 10月1日以降の仕入れは7割控除で見る
リフォラクでも、原価を税込・税抜のどちらで入力しても消費税の額を分けて記録し、案件の粗利を会社ごとの基準(課税事業者は税抜、免税事業者は税込)にそろえて表示できるようにしました。画面の見方はヘルプの案件の粗利を確認するには?にまとめています。
まとめ
- 課税事業者なら税込経理・税抜経理はどちらでもよく、納める消費税は同じ。問題は案件の粗利を見るときに税込と税抜が混ざること
- 税抜30万円の工事で原価が税込16.5万円なら、正しくは粗利率50%。混ざると45%にも約54.5%にも見える
- レシートは税込額と税率で残す。税抜は10%なら÷1.1、8%なら÷1.08、消費税額の記載があればそれを使う
- インボイス未登録の外注先への支払いは、差し引けない消費税分が原価に乗る。2026年10月1日から控除は8割→7割
- 実際の経理処理や自社に当てはまる制度は、税理士さんに確認を
※本記事は2026年9月15日時点で国税庁が公表している情報をもとに、実務の考え方を整理したものです。個別の税務判断は、税理士または税務署にご相談ください。
出典
- 国税庁 タックスアンサー No.6101「消費税の基本的なしくみ」
- 国税庁 タックスアンサー No.6102「消費税の軽減税率制度」
- 国税庁 タックスアンサー No.6375「税抜経理方式または税込経理方式による経理処理」
- 国税庁 タックスアンサー No.6625「適格請求書等の記載事項」
- 国税庁「インボイス制度に関する令和8年度税制改正について」(令和8年4月)
名古屋市でリフォーム会社を共同経営(2021年創業)。現場の見積・請求の実務に合わせて、リフォーム店向け業務サービス「リフォラク」を開発・運営しています。
見積・請求・入金・原価を、案件ひとつに。
リフォラクは、現役のリフォーム店経営者が自分の店で使うために作った、リフォーム店専用の業務サービスです。面倒な導入手続きはなく、今日はじめて、今日から使えます。
無料ではじめる最初の1ヶ月無料・月額9,900円(税込)・初期費用0円・いつでも解約OK
iPhone・iPad・Android・パソコン、どれでも。同じアカウントで使えます
AppleおよびAppleロゴは米国およびその他の国で登録されたApple Inc.の商標です。App StoreはApple Inc.のサービスマークです。
リフォラクブログ