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インボイスの2割特例は2026年分で終わり — 個人のリフォーム店が2027年から選ぶ3割特例・簡易課税・一般課税

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公開日: 2026-10-13筆者: 谷澤 悠太株式会社りぶずけあ 代表取締役
目次
  1. インボイスの2割特例は、いつまで使えますか?
  2. 2027年から個人の店が使える「3割特例」とは何ですか?
  3. 2割から3割になると、納める消費税はどれくらい増えますか?
  4. 3割特例・簡易課税・一般課税は、どう選べばいいですか?
  5. 法人のリフォーム店は、どうなりますか?
  6. 年内に、見積・請求・原価の記録で何をそろえておけばいいですか?
  7. まとめ
  8. 参考

2023年10月にインボイスの登録をした個人のリフォーム店にとって、来年3月に出す2026年分の消費税の申告が、2割特例を使える最後の申告です。2027年からは、個人の店だけが使える「3割特例」が2年間用意されていますが、納める税額は今より増えます。この記事では、国税庁の資料をもとに、いつ・何が変わるか、どれくらい増えるか、そして3割特例・簡易課税・一般課税をどう選ぶかを、見積・請求・原価の記録とつなげて整理します。

筆者プロフィール: 谷澤 悠太 — 株式会社りぶずけあ 代表取締役。名古屋市でリフォーム会社を共同経営(2021年創業)。

インボイスの2割特例は、いつまで使えますか?

直答: 2割特例を使えるのは、2023年10月1日から2026年9月30日までの日を含む課税期間です。個人事業者は暦年(1月〜12月)が課税期間なので、2026年分の申告が最後になります。法人は、2026年9月30日を含む事業年度が最後です。

2割特例は、インボイスの登録をきっかけに免税事業者から課税事業者になった店について、納める消費税を「売上の消費税額の2割」にできる仕組みです。事前の届出は要らず、申告書に適用を受ける旨を書くだけで使えます。

国税庁の説明では、2023年10月1日から登録した個人事業者の場合、2023年分(10〜12月分)から2026年分までの計4回の申告が対象です。2026年分の申告と納税の期限は、個人事業者の場合2027年3月31日です。

ただし、もともと2割特例が使えない年もあります。たとえば、その年の2年前(基準期間)の課税売上高が1,000万円を超える年は対象外です。「売上が伸びて、今年はもう使えていなかった」という店もあるので、まず自分の店がどの年に2割特例を使ったかを、過去の申告書で確かめておきましょう。

2027年から個人の店が使える「3割特例」とは何ですか?

直答: 登録をきっかけに課税事業者になった個人事業者が、2027年分・2028年分の申告で、納める税額を売上の消費税額の3割にできる特例です。令和8年度の税制改正でつくられました。法人は対象外です。

国税庁の「令和8年度税制改正特集」に載っている主な条件は、次の3つです。

条件内容
個人事業者であること法人は使えない
基準期間の課税売上高が1,000万円以下2027年分なら2025年、2028年分なら2026年の課税売上高で判定
インボイス発行事業者の登録を受けていること登録により免税事業者から課税事業者になった個人事業者が対象

ここで見落としやすいのが、2027年分の判定に使うのは2025年の売上だという点です。2025年の課税売上高(税抜)が1,000万円を超えていた店は、2027年分に3割特例を使えません。去年の帳簿か申告書で、今のうちに数字を確かめておきましょう。

2割から3割になると、納める消費税はどれくらい増えますか?

直答: 同じ売上なら、納める税額は1.5倍になります。言い換えると、税抜売上の約1%分(消費税10%の場合)が増えます。

消費税を10%として、国税と地方消費税を分けずに単純に計算した値です。

年間の税抜売上売上の消費税額2割特例で納める額3割特例で納める額増える額
500万円50万円10万円15万円5万円
800万円80万円16万円24万円8万円
1,000万円100万円20万円30万円10万円

※実際の申告では、国税(7.8%)と地方消費税に分けて計算し、端数の処理もあるため、金額は少し変わります。

年8万円は、月にすると7千円ほどです。工事1件あたりの金額で見ると小さく見えますが、見積の値付けを据え置いたままだと、そのまま利益から出ていきます。次の単価の見直しのときに、「2027年から税抜売上の約1%分、納める消費税が増える」と頭に入れておくと判断しやすくなります。

3割特例・簡易課税・一般課税は、どう選べばいいですか?

直答: 工事が中心の店なら、2027年・2028年は3割特例か一般課税かを、材料・外注などの仕入れが売上の何割あるかで比べます。簡易課税は、建設業のみなし仕入率が70%なので、工事だけの店では3割特例と同じ税額になります。

3つの計算方法を並べると、次のとおりです。

方法納める税額の出し方届出と注意点
3割特例(2027・2028年分)売上の消費税額 × 30%届出は不要。個人のみ・基準期間1,000万円以下
簡易課税売上の消費税額 ×(1 − みなし仕入率)届出が必要。建設業は第3種(70%)。選ぶと原則2年間は続ける
一般課税売上の消費税額 − 仕入れの消費税額仕入れの帳簿とインボイスの保存が要件

3割特例と一般課税の境目は、単純に計算すると「インボイスのある課税仕入れ(税抜)が、税抜売上の70%を超えるかどうか」です。たとえば税抜売上800万円の店なら、仕入れが560万円を超えると一般課税のほうが納める額は少なくなります。給湯器やユニットバスの交換のように、材料費の割合が高い工事が多い店は、一度計算してみる価値があります。

ただし、一般課税で引けるのは消費税のかかる仕入れだけです。自分の店の従業員の給与は入りません。また、インボイスの登録をしていない職人さんへの外注費は、経過措置で一部しか引けません(2026年10月からは7割。くわしくはインボイスの8割控除は2026年9月で終了にまとめています)。

簡易課税の事業区分にも注意が要ります。国税庁の説明では、建設業は第3種(70%)ですが、加工賃などの料金を受け取る役務の提供は第4種(60%)になります。材料をお客様が用意し、手間代だけをもらう仕事が多い店は、簡易課税だと3割特例より税額が増えることがあります。

なお、2割特例や3割特例を使った翌年に簡易課税に切り替えたいときは、その翌年分の申告期限までに届出書を出せば、その年から簡易課税を使える扱いがあります。通常は「使いたい年の前の年のうち」に出す必要があるので、判断を急がなくてよいのは助かる点です。

法人のリフォーム店は、どうなりますか?

直答: 法人は3割特例の対象外なので、2026年9月30日を含む事業年度のあとは、一般課税か簡易課税になります。

たとえば9月決算の法人は、2026年9月までの事業年度が最後で、2026年10月から始まった今の事業年度は、すでに2割特例の対象外です。3月決算の法人なら、2027年3月期が最後です。2割特例を使った翌期に簡易課税を選ぶ場合も、個人と同じく、その翌期の申告期限までに届出書を出せば間に合う扱いがあります。

年内に、見積・請求・原価の記録で何をそろえておけばいいですか?

直答: ①2025年と2026年の税抜の売上、②2026年の材料・外注の仕入れ(税抜)と、そのうちインボイスのある分、の2つを数字で出せるようにしておきます。

どの方法が得かは、結局この2つの数字で決まります。年明けの申告の時期にまとめて集めようとすると、請求書と領収書の山から拾い直すことになりがちです。次の3つを年内に進めておくと、判断も申告も楽になります。

  1. 請求書を案件ごとにそろえる: 売上の消費税額のもとになるのは、お客様に出した請求の金額です。年内に完了した工事の請求漏れがないかも、あわせて確かめます
  2. 仕入れを税抜・消費税に分けて記録する: 材料の仕入れや外注費を、案件ごとに税抜の額と消費税の額に分けて残しておくと、「仕入れが売上の何割か」がすぐに出せます。税込と税抜の扱いは材料費のレシート、税込と税抜どっちで記録する?で整理しています
  3. 仕入先・外注先の登録の有無を確かめる: 一般課税を選ぶ可能性があるなら、2027年1月からの仕入れについて、インボイス(適格請求書)と帳簿の保存が必要です。国税庁は、帳簿の保存期間を7年間としています

最後の判断は、顧問の税理士がいれば、この数字を持って相談するのが確実です。数字がそろっていれば、相談は短く済みます。

まとめ

  • 2割特例は、個人は2026年分の申告(2027年3月31日まで)が最後。法人は2026年9月30日を含む事業年度が最後
  • 個人は2027年・2028年分に3割特例が使える。条件は、2年前の課税売上高が1,000万円以下など。法人は対象外
  • 2割から3割で、納める税額は1.5倍。消費税10%なら税抜売上の約1%分増える(単純に計算した値)
  • 工事中心の店は、仕入れが売上の70%を超えるかで、3割特例と一般課税を比べる。簡易課税は工事だけなら3割特例と同じ税額
  • 年内に、税抜の売上と、税抜の仕入れ(インボイスの有無つき)を出せるようにしておく

まずは、2025年の課税売上高が1,000万円以下かどうかと、2026年の材料・外注費が売上のどれくらいかを、手元の数字で一度出してみてください。

リフォラクでは、見積から請求書を作り(見積から請求書を作るには?)、入金までを案件ごとに記録できます。材料や外注の原価も、税込で入れると税抜と消費税の内訳を自動で出して案件に残せるので(かかった原価を記録するには?)、売上と仕入れの数字を案件ごとに見返せます。

※本記事は2026年10月13日時点で国税庁が公表している情報をもとに、実務の考え方を整理したものです。2割特例・3割特例・簡易課税を使えるかどうかは、店ごとの登録の時期や売上の状況によって変わります。申告の前に、国税庁の資料を確認し、必要に応じて税理士や税務署に相談してください。

参考

この記事を書いた人 谷澤 悠太株式会社りぶずけあ 代表取締役

名古屋市でリフォーム会社を共同経営(2021年創業)。現場の見積・請求の実務に合わせて、リフォーム店向け業務サービス「リフォラク」を開発・運営しています。

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