リフォームの書類に収入印紙はいる? — 契約書・領収書・請求書の金額別早見と、電子で渡すときの扱い
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「契約書って、印紙いくら貼るんだっけ」「この領収書、印紙いる?」——書類を出す直前に手が止まる場面は、どの店にもあると思います。間違えると、あとで本来の3倍を払うことにもなりかねません。この記事では、リフォーム店が日常的に出す工事請負契約書・領収書・請求書について、印紙が要るかどうかと金額を、国税庁のタックスアンサーと質疑応答事例をもとに早見表にまとめました。PDFで渡すときの扱いもあわせて整理します。
リフォームの書類で、収入印紙がいるのはどれですか?
直答: 印紙が要るのは、工事請負契約書(注文請書を含む)と、5万円以上の代金を受け取ったときの領収書です。請求書と見積書は印紙税がかかる文書に入っていないため、そのままなら印紙は要りません。
印紙税がかかるのは、印紙税法で決められた20種類の文書だけです。リフォーム店の書類に当てはめると、次のようになります。
| 書類 | 印紙 | 国税庁の区分 |
|---|---|---|
| 工事請負契約書 | 要る | 第2号文書(請負に関する契約書) |
| 注文請書(お客様の注文を受けて店が出す書類) | 要る | 第2号文書(請負に関する契約書) |
| 領収書・レシート・預り書 | 5万円以上なら要る | 第17号文書(金銭の受取書) |
| 請求書 | 原則いらない | 20種類に入っていない |
| 見積書 | 原則いらない | 20種類に入っていない |
注意したいのは、書類の名前ではなく中身で判断されることです。国税庁は、請求書に「済」「了」「代済」「相済」などと書いて、代金を受け取った証明として渡したものは、領収書(第17号文書)にあたると説明しています。「請求書に『領収済』のハンコを押して渡す」運用をしている店は、その請求書に印紙が要ると考えてください。
工事請負契約書の印紙はいくらですか?
直答: 令和9年3月31日までに作る建設工事の請負契約書は、軽減された税額が使えます。契約金額が1,000万円以下なら、印紙は200円〜5,000円です。
リフォーム工事の契約書も、この軽減措置の対象です。国税庁の質疑応答事例では、対象となる「建設工事」は建設業法でいう建設工事で、土木建築に関する工事の全般をいうとされています。
| 契約書に書いた契約金額 | 軽減後の印紙(令和9年3月31日まで) | 本来の印紙(本則) |
|---|---|---|
| 1万円未満 | 非課税 | 非課税 |
| 1万円以上 100万円以下 | 200円(軽減なし) | 200円 |
| 100万円超 200万円以下 | 200円 | 400円 |
| 200万円超 300万円以下 | 500円 | 1,000円 |
| 300万円超 500万円以下 | 1,000円 | 2,000円 |
| 500万円超 1,000万円以下 | 5,000円 | 1万円 |
| 1,000万円超 5,000万円以下 | 1万円 | 2万円 |
| 5,000万円超 1億円以下 | 3万円 | 6万円 |
| 契約金額の記載がないもの | 200円(軽減なし) | 200円 |
契約書まわりで、よく迷うポイントは次の3つです。
- 2通作ると、2通とも印紙が要る: お客様用と店用に同じ契約書を作り、双方が署名・押印してそれぞれ持つ場合、どちらも契約の成立を証明する書類なので、両方に印紙が要ります。コピー機でコピーしただけで署名や押印のないものは、単なる写しで課税されません。
- 追加工事の変更契約書も対象: 工事金額の変更や工事内容の追加で作る変更契約書・補充契約書も、軽減措置の対象です。もとの契約書を特定できる書き方(契約日や書類名など)をして、増えた金額を書いた場合は、増えた金額で印紙額を見ます。もとの契約書が特定できない書き方だと、変更後の金額で見ることになります。
- 軽減措置には期限がある: 軽減税率が使えるのは、令和9年3月31日までに作成された契約書です。契約書の様式に印紙額の目安を書き込んでいる店は、期限が近づいたら国税庁の案内を確認し直してください。
契約書そのものに何を書くかは、リフォームの契約書、何を書けばいい?で整理しています。
領収書の印紙はいくらですか?
直答: 工事代金の領収書は、受け取った金額が5万円未満なら非課税、5万円以上100万円以下なら200円です。金額が上がるほど印紙額も上がります。
| 領収書に書いた受取金額 | 印紙 |
|---|---|
| 5万円未満 | 非課税 |
| 5万円以上 100万円以下 | 200円 |
| 100万円超 200万円以下 | 400円 |
| 200万円超 300万円以下 | 600円 |
| 300万円超 500万円以下 | 1,000円 |
| 500万円超 1,000万円以下 | 2,000円 |
| 1,000万円超 2,000万円以下 | 4,000円 |
| 受取金額の記載がないもの | 200円 |
工事代金は「売上代金」にあたるので、上の表で見ます。国税庁は、手付けも売上代金に含むとしています。工事代金を分けて受け取り、そのたびに領収書を出す場合は、それぞれの領収書に書いた受取金額で表を見ます。
なお、「営業に関しない受取書」は非課税ですが、株式会社などの会社や、商売として工事を請け負う個人事業主が工事代金を受け取るのは「営業」にあたります。店が出す工事代金の領収書は、この非課税には当たらないと考えてください。
クレジットカード払いの領収書は、お金を受け取った証明ではないため、印紙は要りません。ただし国税庁は、クレジットカード払いであることを領収書に書いておかないと、通常の領収書として扱われると説明しています。カード払いの領収書には「クレジットカード利用」と書き添えましょう。
税込と税抜、どちらの金額で判断する?
直答: 消費税の課税事業者なら、書類に消費税額を分けて書く(または税抜価格と税込価格を両方書く)と、税抜の金額で印紙額を判断できます。「税込」とだけ書くと、税込金額で判断されます。
この扱いが使えるのは、第1号・第2号・第17号の文書に限られます。リフォームの契約書と領収書は、ちょうど対象です。以下は架空の例です。
| 書き方 | 判断に使う金額 | 契約書の印紙(軽減後) |
|---|---|---|
| 請負金額 330万円(うち消費税額等 30万円) | 300万円 | 500円 |
| 請負金額 330万円(税抜 300万円) | 300万円 | 500円 |
| 請負金額 330万円(税込) | 330万円 | 1,000円 |
領収書でも同じです。たとえば「工事代金 49,000円・消費税額等 4,900円・合計 53,900円」と分けて書けば、判断に使う金額は49,000円で5万円未満になり、印紙は要りません。「53,900円(税込)」とだけ書くと5万円以上として200円の印紙が要ります。
ひとつ注意があります。消費税の免税事業者は、書類に消費税額を分けて書いても、その分も含めた金額で判断されます。インボイス未登録で免税事業者のままの店は、税込の金額で表を見てください。
PDFでメール・LINEで送ったら、印紙はいらない?
直答: いりません。国税庁は、電磁的記録(電子データ)は印紙税の対象となる「文書」に含まれないため、課税されないと回答しています。
国税庁の質疑応答事例では、建設工事を請け負う会社が、書面の注文請書の代わりに、受注する旨や請負内容を記録した電子データに電子署名を付けて取引先へ電子メールで送った事例について、「電磁的記録は文書に含まれません」「印紙税は課税されません」と答えています。
また、ファックスや電子メールで送った場合について、国税庁は、正本は送った側に残っていて相手に渡されておらず、相手先で印刷したものは写しと同じなので課税対象にならない、と説明しています。
リフォーム店の実務に置き換えると、次のように考えられます。
- 契約書や領収書をPDFにして、メールやLINEで送る → 印紙は要らない
- お客様が受け取ったPDFを自分で印刷する → その印刷物にも印紙は要らない
- 紙に印刷して、双方が署名・押印したものを相手に渡す → 紙の契約書・領収書なので印紙が要る
「PDFで送ったうえで、念のため署名した紙も郵送する」とすると、その紙には印紙が要ることになります。どちらで渡すかを決めておくと迷いません。請求書は紙でもPDFでも、「済」などを書いて受取の証明にしない限り印紙は要りません。
貼り忘れたらどうなる?
直答: 本来の印紙税額の3倍の過怠税がかかります。税務調査の前に自分から申し出れば、1.1倍に軽くなります。
- 印紙を貼らなかった場合: 納めなかった印紙税の額と、その2倍を合わせた金額(本来の3倍)
- 調査を受ける前に、税務署へ「印紙税不納付事実申出書」を出した場合: 本来の1.1倍
- 印紙を貼ったが消印(貼った印紙に印鑑や署名で印をすること)をしなかった場合: 消印していない印紙の額面と同じ額
過怠税は、法人税の損金にも所得税の必要経費にも入れられません。貼り忘れに気づいたら、早めに税務署へ申し出るのがいちばん損の少ない対応です。
自分の書類に当てはめるチェック
書類を出す前に、上から順に確認してください。
- それは契約書・注文請書か、領収書か。請求書・見積書なら原則いらない(「済」「領収」を書いていないか確認)
- 紙で渡すか、PDFで渡すか。PDFだけなら印紙はいらない
- 消費税を分けて書いているか。課税事業者なら、分けて書けば税抜で判断できる
- 表のどの金額帯か。契約書は令和9年3月31日までなら軽減後の欄、領収書は5万円未満なら非課税
- 紙に貼ったら消印をしたか
まとめ
- 印紙が要るのは工事請負契約書(注文請書を含む)と5万円以上の領収書。請求書・見積書は原則いらない
- 契約書は令和9年3月31日まで軽減税率。100万円超200万円以下200円、200万円超300万円以下500円、300万円超500万円以下1,000円、500万円超1,000万円以下5,000円
- 領収書は5万円未満なら非課税。5万円以上100万円以下は200円
- 課税事業者なら、消費税額を分けて書くと税抜で判断できる。免税事業者は税込で判断
- PDFでメール・LINEで送れば印紙は要らない。紙に署名・押印して渡すなら要る
- 貼り忘れは3倍、自分から申し出れば1.1倍
印紙代は1枚あたりは小さくても、契約書を2通作る・分割で領収書を何度も出す、といった積み重ねで少しずつ効いてきます。まずは「どの書類を、紙とPDFのどちらで渡しているか」を一度書き出してみると、自店で見直せるところが見えてきます。
書類を紙で作って郵送している店は、PDFで送る流れにしておくと、印紙だけでなく印刷や郵送の手間も減らせます。リフォラクでは、見積や請求書をPDFにして、そのままLINEやメールで送れます(見積書PDFをLINE・メールで送るには?・見積から請求書を作るには?)。
※本記事は2026年9月29日時点で国税庁が公表している情報(令和8年4月1日現在の法令等)をもとに、実務の考え方を整理したものです。個別の書類に印紙が要るかどうかの判断は、所轄の税務署や税理士などの専門家にご確認ください。
出典
- 国税庁 タックスアンサー No.7100「課税文書に該当するかどうかの判断」
- 国税庁 タックスアンサー No.7102「請負に関する契約書」
- 国税庁 タックスアンサー No.7105「金銭又は有価証券の受取書、領収書」
- 国税庁 タックスアンサー No.7108「不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置」
- 国税庁 タックスアンサー No.7120「契約書の写し、副本、謄本等」
- 国税庁 タックスアンサー No.7123「契約金額を変更する契約書の記載金額」
- 国税庁 タックスアンサー No.7124「消費税等の額が区分記載された契約書等の記載金額」
- 国税庁 タックスアンサー No.7125「営業に関しない受取書」
- 国税庁 タックスアンサー No.7131「印紙税を納めなかったとき」
- 国税庁 タックスアンサー No.7140「印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」
- 国税庁 タックスアンサー No.7141「印紙税額の一覧表(その2)第5号文書から第20号文書まで」
- 国税庁 質疑応答事例「建設工事請負契約書の印紙税の軽減措置」
- 国税庁 質疑応答事例「取引先にメール送信した電磁的記録に関する印紙税の取扱い」
- 国税庁 質疑応答事例「クレジット販売の場合の領収書」
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