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点検商法と間違われないために — 訪問・点検のあとの見積で、町のリフォーム店が示す線引き

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公開日: 2026-10-06筆者: 谷澤 悠太株式会社りぶずけあ 代表取締役
目次
  1. 点検商法の相談は、いまどれくらいありますか?
  2. お客様に呼ばれて見積に行った場合も、訪問販売のルールはかかりますか?
  3. 点検商法と間違われないために、店は何に気をつければいいですか?
  4. 現場での伝え方は、どうすればいい?
  5. まとめ
  6. 参考

「屋根、ちょっと見てもらえる?」と頼まれて上がってみたら、本当に瓦がずれていた。写真を撮って見せ、「早めに直したほうがいいですね」と伝える——町のリフォーム店なら、ごく普通の仕事です。ところが、この流れは点検商法の典型的な手口と、表面上はほとんど同じに見えます。この記事では、点検商法をしている業者と間違われないために、訪問・点検のあとの見積で店の側が示せる線引きを、国民生活センターと消費者庁の一次情報をもとに整理します。

筆者プロフィール: 谷澤 悠太 — 株式会社りぶずけあ 代表取締役。名古屋市でリフォーム会社を共同経営(2021年創業)。

点検商法の相談は、いまどれくらいありますか?

直答: 国民生活センターによると、点検商法の相談件数は2023年度12,550件、2024年度19,249件、2025年度19,696件です(2026年5月31日現在・消費生活センター等からの経由相談は含みません)。

同じページには、訪問販売によるリフォーム工事の相談件数も載っています。並べると、次のとおりです。

年度訪問販売によるリフォーム工事(件)点検商法(件)
202311,87912,550
20249,83919,249
20255,54419,696

※国民生活センター「訪問販売によるリフォーム工事・点検商法」(2026年7月31日更新)より。「リフォーム工事」は屋根工事・壁工事・増改築工事・塗装工事・内装工事の合計。2026年度は5月31日現在で点検商法2,193件(前年同期2,012件)。

最近の事例として挙がっているのは、「無料点検」のあとで瓦がずれている画像を見せられて屋根工事を契約した、「今日なら割り引く」と言われて契約した、「火災の危険性がある」と言われて分電盤の交換工事を契約した、給湯器の点検で高額なメンテナンス契約を勧められたがメーカーの保証期間内だった、といったものです。

お客様の側から見れば、「点検に来た人に、写真を見せられて、工事を勧められた」という点で、真面目な店の訪問も同じ形をしています。違いを伝えられるのは、店の振る舞いだけです。

お客様に呼ばれて見積に行った場合も、訪問販売のルールはかかりますか?

直答: かかる場合があります。お客様が自宅での契約をはっきり求めて呼んだ場合は、書面の交付やクーリング・オフの規定(法第4条〜第10条)が適用されません(特定商取引法第26条第6項第1号)。ただし、見積りだけを目的に呼ばれた業者とその場で契約した場合は、この適用除外に当たらないと考えられる、と消費者庁の通達は書いています。

通達では、ほかにも「水漏れの修理で呼ばれて来訪した際に、台所のリフォームを勧めた場合」や、「単なる問合せや資料請求のあと、業者から訪問を申し出て承諾を得た場合」を、適用除外に当たらない例として挙げています。また、呼ばれて訪問した場合でも、最初に名乗ること(法第3条)と、断られたら勧誘しないこと(法第3条の2)は適用されると明記しています。

つまり「呼ばれて行ったのだから、訪問販売のルールは関係ない」とは言い切れません。見積に呼ばれて、その場で契約まで進めば、書面の交付やクーリング・オフのルールがかかると考えておくのが安全です。

点検商法と間違われないために、店は何に気をつければいいですか?

直答: 点検の日と契約の日を分け、写真はお客様に渡し、見積は書面で持ち帰って検討してもらうことです。具体的には、次の7つを店の決まりにしておくと、誰が訪問しても同じ振る舞いができます。

1. 最初に会社名と用件を名乗り、名刺と会社の情報を渡す

特定商取引法第3条は、訪問販売をしようとするときは、勧誘に先立って会社名・勧誘する目的であること・商品や工事の種類を告げなければならない、と定めています。玄関先で名刺を渡し、店の住所と電話番号がわかるものを置いていけば、お客様はあとで自分で調べられます。

2. 点検の日に契約の話をしない

点検で見つかったことは、その日に伝えます。ただし、契約の話は見積を出したあとにします。「今日は見るだけです。見積は後日お届けします」と最初に言っておけば、お客様は身構えずに済みます。

3. 写真は「見せる」のではなく「渡す」

点検商法の事例では、「瓦がずれている画像を見せられ」て契約しています。真面目な店がするべきは、撮った写真をその場でお客様に渡すことです。傷んだ部分の寄りの写真だけでなく、家のどこを撮ったかわかる引きの写真も添えます。手元に写真があれば、家族や他の店にも見せて相談できます。

4. 「危険」「今すぐ」は、根拠と一緒に伝える

法第6条は、勧誘の際に、お客様がその契約を必要とする事情などについて事実と違うことを告げることを禁じています。急いだほうがいい状態なら、何がどう傷んでいて、放っておくと何が起きうるかを写真で示します。急がなくていい状態なら、正直に「次の点検まで様子を見ても大丈夫です」と言います。給湯器などの設備は、メーカーの保証期間内かどうかを先に確認します。

5. 見積は書面で持ち帰ってもらい、「今日だけ」の値引きをしない

見積は、工事の内容と金額を書いた書面で渡し、有効期限をつけて検討の時間をとってもらいます。「今日なら割り引く」は、相談事例にそのまま出てくる言い方です。値引きをするなら、その理由と条件を見積書に書き、有効期限までは同じ条件で受けます。他の店の見積と比べてもらって構わない、と伝えるのも一つの線引きです。

6. 断られたら、そこで引く

法第3条の2は、訪問販売で契約しないと言った人に勧誘を続けたり、あらためて勧誘したりすることを禁じています。「今回はやめておきます」と言われたら、お礼を言って引き上げます。その後も、お客様から連絡があるまでこちらから重ねて勧めないようにします。

7. 訪問販売にあたる契約では、書面とクーリング・オフを店から説明する

訪問販売にあたる契約では、法律で決められた事項を書いた書面を渡す義務があり(法第4条・第5条)、お客様は書面を受け取った日から数えて8日以内なら、書面または電磁的記録で契約を解除できます(法第9条)。この制度を、聞かれる前に店の側から説明することが、いちばんわかりやすい線引きです。契約書に書いておく事項はリフォームの契約書、何を書けばいい?で、年末の休みとクーリング・オフの期間が重なるときの注意は年内に終わる工事、いつまで受ける?で整理しています。

現場での伝え方は、どうすればいい?

直答: 「今日は見るだけ」「写真はお渡しします」「急ぐかどうかは正直に言います」の3つを、最初と最後に言葉にして伝えます。たとえば次のような言い方です。

  • 点検に上がる前: 「◯◯リフォームの△△です。今日は状態を見て写真を撮るだけで、契約のお話はしません。見積が必要なら、後日書面でお持ちします。」
  • 点検が終わったとき: 「撮った写真はこのままお渡しします。ここの部分が傷んでいますが、すぐに雨漏りする状態ではありません。ご家族とも相談してみてください。」
  • 見積を渡すとき: 「有効期限は◯月◯日までです。他の店の見積と比べていただいても構いません。ご契約いただく場合は、クーリング・オフについても書面でご説明します。」

店の中で言い方をそろえておくと、家族や従業員が訪問する日も同じ線引きができます。工事中に追加が出たときの伝え方は、追加工事の進め方で整理しています。

まとめ

  • 点検商法の相談は2025年度19,696件(2026年5月31日現在)。訪問販売によるリフォーム工事の相談とは逆に、増え続けている
  • 見積だけで呼ばれても、その場で契約すれば書面の交付やクーリング・オフのルールがかかると考えられる(消費者庁の通達)
  • 店が示せる線引きは、名乗る・点検の日に契約しない・写真を渡す・根拠を示す・見積は書面で持ち帰り・断られたら引く・書面とクーリング・オフを説明するの7つ
  • 「今日は見るだけ」「写真はお渡しします」を、言葉にして最初に伝える

点検商法と同じに見えるのは、点検・写真・提案という仕事の形が似ているからです。違いは、お客様に考える時間と材料を渡すかどうかに出ます。まずは「点検の日に契約しない」を、店の決まりにするところから始めてみてください。

リフォラクでは、点検で撮った写真を案件ごとに保存し(現場写真や書類を案件に保存するには?)、見積書はPDFにしてLINEやメールでそのまま送れます(見積書PDFをLINE・メールで送るには?)。

※本記事は2026年10月6日時点で国民生活センター・消費者庁が公表している情報と、e-Gov法令検索の条文をもとに、実務の考え方を整理したものです。個別の契約が訪問販売やクーリング・オフの対象になるかどうかは、消費者庁の案内を確認のうえ、弁護士などの専門家にご相談ください。

参考

この記事を書いた人 谷澤 悠太株式会社りぶずけあ 代表取締役

名古屋市でリフォーム会社を共同経営(2021年創業)。現場の見積・請求の実務に合わせて、リフォーム店向け業務サービス「リフォラク」を開発・運営しています。

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